春霞塾 | 食は、人の天なり
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食は、人の天なり

食は、人の天なり

髙田郁の『みをつくし料理帖』全10巻がアツい!
このシリーズは2009年の第1作『八朔の雪』以来、2014年第10作『天の梯』にて完結した女性を主人公にした時代小説です。司書の先生、シナダさんに「田村先生、私は時代小説読まないんですけど、これはオススメです!私も叔母から紹介されました。みをつくし料理帖シリーズは最後までご期待を裏切りませんよ」と自信をもってご紹介されたシリーズです。 
ざっと、ストーリーを紹介

します。
享和2年大坂の水害で両親を失った澪ちゃんは天涯孤独の身となりました。天性の味覚とどんな試練にも立ち向かう強さを持つ澪ちゃん、「天満一兆庵」主人の嘉兵衛に見込まれ、江戸時代女性でありながら料理人としての腕を磨いていきます。しかし隣家からの延焼で店は焼失。息子の佐兵衛を頼って江戸へ出た3人を待ち受けていたのは、佐兵衛が散財し店を潰し、行方をくらませているという報せ。度重なる心労により、主人嘉兵衛は「天満一兆庵」の再興を澪と妻、芳に託して亡くなってしまいます。店の再興と佐兵衛の行方探しを胸に、慣れぬ土地で芳と暮らし始めた澪は、蕎麦屋「つる家」の主人・種市に店で働かないかと誘われ、再び料理人としての道を歩み始めます。自分の料理を喜んでいく人たちの喜びを励みにし、様々な新しい料理を考案していきます。血のつながりはないけれどいたわり合いながら生きる人達と支え合いながら、他店の嫌がらせや大事な人との別れを乗り越えながらも、「つる家」を江戸で評判の店へと成長させていくお話です。
 このお話が予定調和ではなく、女性の生き方として共感できるところは、澪ちゃんの運命が「」であった点です。曰く「頭上に雲が垂れ込めて真っ暗に見える。けんど、それを抜けたところには青い空が広がっている-。その苦労に耐えて精進を重ねれば、必ずや真っ青な空を望むことが出来る。ほかの誰も拝めんほど澄んだ綺麗な空を」。澪ちゃんが8歳の時高名な易者に予言された通り、力をつければつけるほど降り注ぐ嫉妬や嫌がらせを、自分の知恵で切り抜けていきます。支えてくれる「想い人」も、「つる家」で見守ってくれる人達も、澪ちゃんには「答え」はくれないのです。澪ちゃんは自分にこう言い聞かせます。「自分には知恵が足りない。もっと、よく考えて知恵を絞らねば。」。自分の進む道を全うするため、身を切られる思いで恋人との別離を決める。その決断にも大いに共感できます。
「歴史・時代小説ベスト10」、「最高に面白い本大賞! 文庫・時代部門」、「第2回R-40本屋さん大賞 文庫部門」において第1位を獲得。『この時代小説がすごい!文庫書き下ろし版』でも第1位となっています。2017年5月13日からNHK総合の「土曜時代ドラマ」枠で、全8回で放送予定。澪ちゃんは黒木華がキャスティングされています。楽しみです。
全10冊ですが続けて読んで下さい。私の決断は正しいのかどうか気弱になっている時、澪ちゃんにはずいぶん助けられました。澪ちゃん、「雲外蒼天」の人生を生き抜きます。危ない目に遭うのを恐れて歩みを止めるようでは失格。ご寮さんの言葉にもはっとします。